目次へ   自然・竜ヶ岳



龍ヶ岳 470m 上天草市竜ヶ岳町



 御所浦横浦島から見た龍ヶ岳  山頂右端にミューイ天文台がある。


   

 龍ヶ岳は龍ヶ岳のシンボルである。町の後方にどっしりと控え、山頂が台形状の山はまるで龍ヶ岳町を後から守っているようにも見える。
 龍ヶ岳山上は、砥岐の里公園として整備され、ミューイ天文台や展望台、キャンプ場が設置されている。勿論山頂まで車で簡単に行ける。
 車道が整備されるとそれまでの登山道は荒れ果てるのが普通であるが、ここの登山道は立派に整備され、気楽に歩いて登れる。といっても、海抜0mから470mまで一気に登るのだから、夏などは汗だくになるだろう。因みに平均角度を計算してみたら約17゜であった。山は林道から先が急傾斜となっており、林道からは19゜である。かなり急登だとわかるだろう。
 登り口は役場や町立病院のちょっと姫戸寄り、脇浦から登る。
 2月中旬であったが、桃の花が満開であった。梅は蕾が膨らんだ程度。ぽかぽか陽気のため、老婦人が数人、農作業にいそしんでおられた。
 コンクリート川の横、これまたコンクリート道を少し登ると、登山口の標識がある。ご丁寧に3つもある。
 登山口から山径に入る。径は、コンクリートの擬似木で階段を作ってある。急登個所はコンクリートの階段もあるが、山頂まで擬似木階段が設置してあるからたいしたものだ。
 登山口から、10分も登ると大木の老杉が迎えてくれる。屋久杉は見たことないが、大きさは屋久杉に匹敵するのではないだろうか。径1.5m以上はある。例によって神木として祀ってあり、封を切ってない酒も供えてあった。
 冬の山は、まとわりつくアブや蜂などの害虫もいないし、汗もほとんどかかないし、登山には最適である。特に天草の冬は雪もほとんど降らないので歩くのに不自由はしない。しかし、山の空気というか、感触はあまりよくない。乾いた感じで、山特有のにおいがない。よく、森林浴が身体にいいというが、冬は多分アロマも少ないのではないだろうか。
 そんな冬山にも小鳥は多い。ガサゴソと木の実を漁っているのだろう。人が近づくと驚いて逃げる。時には足元から突然数羽が飛び立つこともあり、そんなときは驚く。今では天草の山にもイノシシが増えているので、ガサゴソ音がするのはあまりいい気はしない。
 やがて、林道に着く。ここまで、1.2km。時間にして約30分。ここには休憩所も設置してある。あまり利用されないとみえ、葛が巻きついている。
 残りは700mだ。林道を横切り、ここからが急傾斜となる。真直ぐ伸びたヒノキ林や自然木の中を登る。こんなところにも石垣が築いてある。畑の後だ。
 階段は2箇所ほど崩落しているところがあるが、きれいに作ってある。
 急坂なので、あえぐ。登山口から50分ほどで尾根に達する。キャンプ場の管理棟のすぐ横だ。ここにも展望台が設置してあり、眼下に樋島、八代海、その対岸の田浦方面のすばらしい景色が目に飛び込んでくる。汗をふきふき、眺望に見入る。ここから樋島をみると、天草の一面がよく分かる。天草の人は山島のちょっとした隙間に這いつくばって住んでいることが。たしか、龍ヶ岳町か隣の姫戸町かには、水稲の生産高が0だと聴いたような気がする。田んぼも出来ないような地形に、人々はひしめき合って住んでいるのだ。今でこそ豊かになったが、かつて農業が国の基本であったころは、貧しかっただろう事が地形から容易に読み取ることが出来る。
 頂上には左に行く。数分もかからない。頂上及びその付近には、アスレチック広場、展望台、ミューイ展望台などがある。砥岐の里の由来などを記した記念塔もある。「ミューイ」とは、天草の方言で「見よう」ということから名付けられたそうだ。まだ、入館したことはない。アスレチック広場も、夏場を除いて、あまり利用されていないようだ。なにしろ子どもが少なくかつ遊びが変わったので、どこの子どもの遊び場も、休みの日でも閑散としている。
 せっかくのキャンプ場と天草唯一の天文台があるので、有効利用しない手はない。そのうち、キャンプにも来よう。


 老杉  
 
 階段状の登山道  
 
 林道の休憩所  
 
樋島